2016年11月20日
<New Album "TOKYO'S BAD BOYS"発売記念公演>(11/15) JORIS POSTHUMUS GROUP=ヨリス・ポスティムス Joris Posthumus (as,ss) 徳田雄一郎(as) 柳 隼一(p) 徳田智史(b) 長谷川ガク(dr)
<New Album オランダ在住・オランダを代表するサックス奏者であるヨリス・ポスティムスさん&日本気鋭のジャズメンによるアルバム、「TOKYO’S BAD BOYS」。その発売記念ツアーのファイナル前日がWUUでの公演。足を運びました。
”BAD”は、直訳すると「悪い」という意味ですが、意図したところは「東京の悪い少年たち」ではなく「東京のいかしたやつら」なのだとか。演奏を聴いて「なるほど納得」です。「かっこいい」とも「ステキ」ともちょっと違う「いかした」という言葉がぴったりの若きメンバー。アルバムタイトルには、ヨリスさんのメンバーに対する気持ちが集約されているようです。
そもそもは、2014年に初来日したヨリスさんが、自身が感銘を受けた演奏者に声をかけて実現したというレコーディング。ヨリスさんの心をつかんだTOKYO’S BAD BOYSは、この日のステージでも最高のパフォーマンスを見せてくれました。
フロントでヨリスさんと並んだのは、アルトサックスの徳田雄一郎さん。ヨリスさんの人生経験を積んだ音色に、エネルギッシュで、なおかつドライな味わいをプラスして、曲に奥行きを与えていきます。ツインサックス、良いです。
「休符がない?」と思えるほどの勢いで怒涛の鍵盤さばきを見せてくれたのは、ピアニストの柳さん。時にはリズムをキープ、時には高速のメロディーを奏で、演奏に華を添えます。
ベーシストは、柳さん同様「休符がない? 体力は大丈夫?」と心配になるほど熱のこもった演奏を聴かせてくれた徳田智史さん。温もりと存在感のある音色で、ステージを彩ります。
曲によってガラリと雰囲気の変わる演奏を聴かせてくれたのは、ドラムの長谷川さん。乾いた音、潤いのある音など、複雑なリズムを送り出しながら、曲を表情豊かなものにしていきます。
そして、グループを率い、CD収録曲の作曲も手がけたヨリスさん。ソプラノとアルト、2本のサックスを持ち替えながら、自身の想いを吹き込んでいきます。想いというのは、ただの感情ではなく、ひとつひとつの曲に込めた「想い」。初来日したときに目にした街の印象だったり、日本で刺激を受けた人物だったり――ヨリスさんの作品がとても叙情的に感じられるのは、紡がれるメロディー、サックスの音色が、ヨリスさんの心を映し出したものだからともいえます。
もうひとつ印象に残っているのが、メンバーのソロ回しのときにステージを降りて、客席から演奏を見つめるヨリスさんの姿です。楽しそうに体を揺らし、「よしよし」というようにうなずく様子は、どこか誇らしげ。ヨリスさんとメンバーの間に築かれた「絆」が見えるようでした。
前半4曲、休憩をはさんで後半4曲+アンコール1曲。トータル9曲と曲数は少な目でしたが、時間は通常のライブと変わらない2時間半ほど! 1曲当たりの時間が長いということですが、そのことをまったく感じさせなかったのは「さすが」のひと言。躍動的で刺激的、そして情感あふれるライブでした。
MCが英語だったため、タイトルがきちんと把握できたのは通訳されたもののみだったのですが、そんな中から4曲、ご紹介します。
♪TOKYO’S BAD BOYS
ライブのスタートは、アルバムのタイトルにもなっている曲。まさに「東京のいかしたやつら」を音で描き出したという感じです。メンバーひとりひとりへのヨリスさん流の賛辞なのかもしれません。冒頭からパワー全開の「いかした」曲でした。
♪SAD SONG
哀愁を帯びたサックス2人による深みのあるハーモニー、バックの音数をおさえた演奏で描き出される心象風景。ラストのメジャーコードへの転換が、何とも言えない余韻を残してくれました。
♪JACOB’S BLUES
ヨリスさんの友人、ジェイコブさんに捧げた曲だとのこと。個人的には、刑事ドラマ(犯人を追跡する場面)にぴったりだと思いました。ヨリスさんのソロ(指令?)を受けて、全員が疾走! いやあ、すごかったです。
♪MR.AMANO
ヨリスさんが初来日したときに会った目力のあるプロデューサー「MR.AMANO(あまの氏)」に触発されて作った曲だとのこと。包み込むような優しさを感じました。
ライブ終了後、観客からは「もっとたくさんの人に聴いてほしい」「この演奏を聴いたら、CD買いたくなるよね」という声が。まさしく。オランダと日本のミュージシャンによるコラボレーションは、聴いた人々の心をぎゅっととらえました。
ヨリスさんに「See you again」と伝えてみたら、笑顔で「Thank you!」。またの来WUUを楽しみにしています。
https://twitter.com/no_booko
文/フリーライター たいらくのぶこ
”BAD”は、直訳すると「悪い」という意味ですが、意図したところは「東京の悪い少年たち」ではなく「東京のいかしたやつら」なのだとか。演奏を聴いて「なるほど納得」です。「かっこいい」とも「ステキ」ともちょっと違う「いかした」という言葉がぴったりの若きメンバー。アルバムタイトルには、ヨリスさんのメンバーに対する気持ちが集約されているようです。
そもそもは、2014年に初来日したヨリスさんが、自身が感銘を受けた演奏者に声をかけて実現したというレコーディング。ヨリスさんの心をつかんだTOKYO’S BAD BOYSは、この日のステージでも最高のパフォーマンスを見せてくれました。
フロントでヨリスさんと並んだのは、アルトサックスの徳田雄一郎さん。ヨリスさんの人生経験を積んだ音色に、エネルギッシュで、なおかつドライな味わいをプラスして、曲に奥行きを与えていきます。ツインサックス、良いです。
「休符がない?」と思えるほどの勢いで怒涛の鍵盤さばきを見せてくれたのは、ピアニストの柳さん。時にはリズムをキープ、時には高速のメロディーを奏で、演奏に華を添えます。
ベーシストは、柳さん同様「休符がない? 体力は大丈夫?」と心配になるほど熱のこもった演奏を聴かせてくれた徳田智史さん。温もりと存在感のある音色で、ステージを彩ります。
曲によってガラリと雰囲気の変わる演奏を聴かせてくれたのは、ドラムの長谷川さん。乾いた音、潤いのある音など、複雑なリズムを送り出しながら、曲を表情豊かなものにしていきます。
そして、グループを率い、CD収録曲の作曲も手がけたヨリスさん。ソプラノとアルト、2本のサックスを持ち替えながら、自身の想いを吹き込んでいきます。想いというのは、ただの感情ではなく、ひとつひとつの曲に込めた「想い」。初来日したときに目にした街の印象だったり、日本で刺激を受けた人物だったり――ヨリスさんの作品がとても叙情的に感じられるのは、紡がれるメロディー、サックスの音色が、ヨリスさんの心を映し出したものだからともいえます。
もうひとつ印象に残っているのが、メンバーのソロ回しのときにステージを降りて、客席から演奏を見つめるヨリスさんの姿です。楽しそうに体を揺らし、「よしよし」というようにうなずく様子は、どこか誇らしげ。ヨリスさんとメンバーの間に築かれた「絆」が見えるようでした。
前半4曲、休憩をはさんで後半4曲+アンコール1曲。トータル9曲と曲数は少な目でしたが、時間は通常のライブと変わらない2時間半ほど! 1曲当たりの時間が長いということですが、そのことをまったく感じさせなかったのは「さすが」のひと言。躍動的で刺激的、そして情感あふれるライブでした。
MCが英語だったため、タイトルがきちんと把握できたのは通訳されたもののみだったのですが、そんな中から4曲、ご紹介します。
♪TOKYO’S BAD BOYS
ライブのスタートは、アルバムのタイトルにもなっている曲。まさに「東京のいかしたやつら」を音で描き出したという感じです。メンバーひとりひとりへのヨリスさん流の賛辞なのかもしれません。冒頭からパワー全開の「いかした」曲でした。
♪SAD SONG
哀愁を帯びたサックス2人による深みのあるハーモニー、バックの音数をおさえた演奏で描き出される心象風景。ラストのメジャーコードへの転換が、何とも言えない余韻を残してくれました。
♪JACOB’S BLUES
ヨリスさんの友人、ジェイコブさんに捧げた曲だとのこと。個人的には、刑事ドラマ(犯人を追跡する場面)にぴったりだと思いました。ヨリスさんのソロ(指令?)を受けて、全員が疾走! いやあ、すごかったです。
♪MR.AMANO
ヨリスさんが初来日したときに会った目力のあるプロデューサー「MR.AMANO(あまの氏)」に触発されて作った曲だとのこと。包み込むような優しさを感じました。
ライブ終了後、観客からは「もっとたくさんの人に聴いてほしい」「この演奏を聴いたら、CD買いたくなるよね」という声が。まさしく。オランダと日本のミュージシャンによるコラボレーションは、聴いた人々の心をぎゅっととらえました。
ヨリスさんに「See you again」と伝えてみたら、笑顔で「Thank you!」。またの来WUUを楽しみにしています。
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文/フリーライター たいらくのぶこ
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